このところ「かんばつ(干魃、旱魃)」で、降雨が無くなった。
昨夕も黒雲が出回り、山頂部等で降雨があるようだが、集落には降らない。
6月5日の夕刻、自動車にて昭和村小野川から喰丸峠(トンネル)、舟鼻峠(トンネル3個)から会津田島(南会津町)を往復した。遠見の山頂は降雨があるようで、通過したトンネル内は湿度により内壁全面が水浸しになっており降雨を予想していた。
トンネル内部だけが雨を受けたような漆黒となっているが、人家付近への降雨とならなかった。
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農協部会事務局の昭和支店から、台風災害予防等のハウス補強のカラー書面が届いた。同封して『なにわ花だより 2020年5月号』(A4版カラー4頁、大阪、なにわ花いちば発行)があり、「会津よつば昭和」のかすみ草部会が紹介されている。生産者78名(昭和村、柳津町、三島町、金山町)で、栽培面積は25ヘクタールと記載されていた(往事は34ヘクタール)。
この『花だより』の2面に「5月の見通し」として切り花の出荷見通し等が書かれている。クレマチスについて、
(クレマチス)
兵庫県産、長野県産、香川県産中心の入荷となります。
入荷量は多くありませんが、品質は抜群です。
兵庫県のエムズガーデンからは、ベル型でグラデーションのかわいらしい「ロウグチ rou-guchi」が、純白で綺麗な八重咲きの「エジンバラ」がおすすめです。
長野県の北原良廣さんからは、定番の「ホワイトジュエル」がブライダル等におすすめです。香川県の F.U.KAGAWA からは、はっきりとした色合いが綺麗な「デュランディ」が入荷します。
(ダリア)
西南暖地中心の入荷となります。近頃の市況で出荷量の調整や、出荷を終了している産地もあり、入荷量は例年の3分の1と少なくなっています。
(アルストロメリア)
今年は3月以降の価格低迷を受けて、植え替え作業を早めに行う産地が多い状況です。そのため、例年よりは入荷量が少なくなります。
(デンファレ)
輸入物はタイ産中心の入荷となります。しかし、飛行機の減便やスペース不足による運賃高騰の影響を受け、出荷の見通しが非常にたちずらい状況です。入荷があったとしても、価格面から注文対応中心となる可能性もあります。
(ポリシャス)
4月現在、安定して入荷していますが、運賃高騰の影響を受け、不安定になる可能性があります。
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切り花販売は前年比3割減が常態に。
■松島義幸さんのブログ → 4月の輸入切り花は26.1%減少
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(写真、4日柳津町小ノ川)
■現在、切り花の出荷をしている会津田島のMPS生産者・湯田浩仁さんと5日の夜、懇談し市場等の近況をうかがった。
偶然にもカラーの白について今年は作付けしなかったので、現在の出荷では前年比単価を維持している、ということだった。白のカラーはブライダル用の業務需要が価格をひっぱっていたので、今年は感染症拡大で婚礼延期・中止で行き場が無くなっている、とのことだった。
白以外の色で、特に家庭需要にしか引き合いがないため、においのしない花、日持ちする花でないと、繰り返し注文が来ない。MPS(JFMA)等で、これまで日持ちの取り組みをしていて、とても助かっている、ということだった。
リシアンサスの今後の傾向(特に仕立て様式の家庭用への変化)、6月3日の福島民報の花の産地の記事について話をうかがった。現在出荷している生産者間で、単価が前年比で3~4割安い、ということは共通認識となっている。
季節商品のアジサイ等は昨年同期1本500円が今年は150円、、、高額で売れていた品目は行き先が無くなっている。
テレビニュース等をみると、贈答ギフト向けのブドウの産地等が、高値販売を意識していた昨年までの「大きな房にしたてる」ことを止めて、一般家庭で購入しやすい値段に収まる「小さなふさのブドウ」に変更している、等、他産地の他品目での転換は、農協の指示が変化対応にしっかり適応しており、学ぶ点が多い、、、(日本農業新聞の6月4日の論説:販売戦略の再考)。
会津田島地域へも茨城県内からかすみ草生産農家となる希望の人等が、研修で入村している、とのことだった。
浩仁さん宅は、後継者は花栽培ではなく、果菜栽培と加工(6次化)を行っており、ギフト向け需要の停滞はあるが一般家庭向けは動いているようだった。
そして、花栽培をしている国内の知人ら生産者の動向は、花だけでは経営が成り立たないため、昨年9月の台風被害時に雇用者の半分を解雇し、ハウス再建せず、野菜栽培等に転換を進めているなかで、今年の感染症拡大となり、経営転換に優位になっているようだ、と語っておられた。
一方、国内で経営している一般飲食業等の知人らは、はかなり厳しい経営状況のようで、農業以上の被害、、、とのことだった。飲食業1店では、月間で数千万円の赤字で、3ヶ月が経過、、、、
写真・柳津町小ノ川 カボチャ
私は次のような、いつもとかわりばえのしない持論を話した。
1983年から葉たばこ栽培を切り花に転換して売上は伸長、しかしバブル経済の破綻の影響が1994年からかすみ草の市場販売に大きな影響が出たが、その際と今回を比較すると、今回は3割程度の単価安で済んでいるので、バブル経済破綻時の影響(価格が7割減)より対応が容易である、と語った。量販店と地産地消の直接納品することとし輸送費も節約でき、旧来の単価を見直し、「新しい生活様式単価」(旧来単価の7割)で提案すれば卸売り市場経由での販売より利益率が高くなる(市場手数回避)。「非常事態単価」は実は来る未来の単価であるので、それを先取りして提案していくことが、来年の消費を先取りすることになり、受け身の対応(相場が安くなったときに判断することを避ける)を見直すことができる。あるべき将来像を、先に生産者団体から提案し、そのことを通じて顧客層が他品目に仕入れを変更しないような手を打ちながら、栽培様式や品種の晩生種への転換、栽培面積の減少(出荷本数を維持するが生産は抑制)という新たな生活様式への生産対応に転換できる。
「非常事態」では、出荷した花を卸市場で廃棄させないための「価値の維持」がいちばん大切な取り組み「賢い販売」となる。販売単価にとらわれず、手取額重視の販売(卸市場を回避する比率を高める)で、生産者の収益と農協の利益は容易に維持できる。
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1994年から約10年間低迷が続いた。
かすみ草の平均価格は、2Lクラスで1本300~500円していたかすみ草BF(ブリストルフェアリー)が、1994年にはいきなり1本@30~100円で、継続し、それ以降1本100円にならない年が長く続いた。
そのため、海外産育成品種が多数投入されることになり、結果として「雪ん子」の時代となったが、雪ん子はうどんこ病を多発し、農家経営を防除により逼迫させ、かすみ草から他品目への転換を進めることになった。
この際、種苗会社のシェアが劇的に新規事業者有利に転換した。1994年までは中生種BFでパテントフリーのためだれでも挿し木繁殖が可能であったが、砂上げ苗の品質で、第一園芸がトップシェアであった。しかし新規品種開発はせずに、ミヨシのニューフェイス(広島の宮本仁朗さん育種)や、多品種時代の萌芽で、新規参入者の、現在のスミカがダンジガー社のゴラン、ギルボア等の海外育種かすみ草を提案し、結果として日本人らが関与して抽出した晩生種「雪ん子」がBFのシェアを奪って、トップになった。スミカの故・西川晶さんの育種に関わった経験が大きかった。
BFは高温障害等が夏秋に発生することから高冷地・冷涼地に産地を集約させた。一方、雪ん子は栽培地を選ばなかった。そのなかで、価格低迷は続いており、2000年を待ってミヨシがアルタイルを発売し、JFMAのIFEXでのプロモーションを数年継続して仕入れ者である生花店に、かすみ草は早生のアルタイル、ということを印象づけた。
雪ん子からアルタイルの転換となり現在まで継続している。見事にそのかすみ草を作出・提案したのは、それまでのシェアを持つ企業ではなかった。
今回の感染症拡大では、業務需要の衰退という大きな社会変化を伴っており、主産地は業務需要対応で出荷規格・単価見通しを組んでいるので、国内のどの産地も、2020年に転換しなければ、来年以降の産地継続は難しい。
それは品種を替えるというこれまでの対応では適応できない。そのため家庭需要に対し「におい抑制剤の前処理」と、育種においては「におい抑制品種の開発」。2L主体ではない安い単価でも成立する規格、、、これは海外産地がすでに転換している、、、、
問題は早生系品種の一斉開花は、冬期間の石油暖房費を抑制する必要性からの選択(アルタイル)となっており、夏場の品種としては不適合(開花そろいの悪い品種が必要、、、晩生種が優れている)となっている。
栽培技法も2回摘芯で一斉開花をもたらす技法の見直しも必要になっている。
幸いにも、かすみ草には多様な仕立て方法があり、品種も現行品種では多数存在し、におい抑制前処理も存在する。また染色技法、染料も市販されており、生産者は、どれをどのように組み合わせるかを考えるだけでよいので、安易に転換できる。
しかし卸市場出荷主体の構造は、業務需要主体のこれまででは対応できない、、、、野菜・果樹はすでに卸経由率がかなり低下しており、その分、この感染症拡大でも個人向け、量販店向けのルートが開発されているため、影響が少ない。
■6月5日の夕刻、携帯電話に、金山普及所の福田さんから電話があり、福島県庁からの伝言を聞いた。
最近、ある情報を読むために「ライン」登録をしたところ、携帯電話に登録している千件の相手に、そのライン登録の連絡が自動で発信されてしまい、、、、意図しないその行為で、「やっとカンケさんもラインをはじめたのですね」という返信がとても多く、着信音をでないように設定していて、4日の夕刻にも福田さんからの電話があったことを後で知った。
福島県庁からの伝言は、茨城県庁からの打診で、10月頃に同県で枝物産地での講習会で報告(講演)してほしい、とのことであった。たいへん光栄なことで、受諾した。
写真6月4日柳津町
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■フローラルダイアリー(オランダ) → ヒッピーサイケデリックローズ
■時間をかけたロック(69回)で、緻密な調査。カルチベ園芸探偵6月5日 「読む園芸」に気づいた先人。 → 第69回 「オルチキュルチュール」とはなんだろう~吉田進翁が考えたこと(前編)
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夜のファクス市況
■6月5日(金)3市場(F、板、南)FG564(マカロン)が11箱(会津美里)、ご祝儀相場。2名出荷となり、8日(月)は50箱と増え第一へも4社送り。スタンダード品種は専門店より量販店仕入れに仕向けられると厳しい展開が予想される。