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6月4日(木)自然発色ピンクのかすみ草新品種の作型試験の年

■2020年6月4日(木)

 早朝は前日に植え残したかすみ草試作苗カネコの6710を大田3号に定植予定。隣の4号はすべて定植を終えている(かすみ草試作、シネンシス試作)。
 大田1号棟のハイブリッドスターチスの6号棟(杉1)に移植を急ぐ。雨天前に済ませる。
 5日は自然ピンク発色の八重種マイピンク苗が入荷(プラグ苗)する。スミカ扱いダンジガー育種。摘芯方法を一部変更する予定。12日にもマイピンク苗が入荷する。
 マイピンク自体、1昨年まで日本国内での生産者は管見では私一人、昨年から村内の小泉さんが栽培を開始。

 2020年のマイピンクの越冬株の無加温季節咲き(季咲き)の開花予定は7月下旬から8月上旬。盆明け後から、新苗定植分が開花で9月末まで出荷の予定。


 今年は、カネコ種苗のピンク品種のナチュラルピンク、扱いは初年となるフジプランツのピンクシンフォニーの2種の作型試験が、村内各者が行う予定。ナチュラルピンクは2019年に試作している(6626の名前で、大岐家向圃場で10本ほど)。フジプランツの品種については矢ノ原で本名敬君が3年ほど前から白、ピンクと試作をしている。

 我が家では、新種ピンク2品種を5回(5/27,6/2、10、22,30)の作型に分けて試験する。矢ノ原の金山普及所の試作圃場でも行うと思われるが一般に公表されない(ウェブサイト等での告知がこの数年行われなくなり残念)。




2019年8月28日、岩下圃場 マイピンク開花



マイピンクは緑かすみのアマゾネス同様に
剛直となるため
5本束でエルフバケットに
10~15本での出荷
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2019年試作
8月16日開花 
カネコ6626
ナチュラルピンク
特徴は発色の良さと、
ハンドリングの良さ(枝がしなやか)。
品種に問題は無いが、
当地での作型での
作型試験の初年のため、多く課題もあるため、
導入時期別(作型別)の、摘芯、仕立て法、
植栽距離を2020年は考える。

これまでの
白かすみ草の古い観念の規格を元に
考える時代では無くなっている。
品種特性を生かして、
省力化して低単価時代を乗り切る規格を
考えている(採用されるかどうかは不明だが)。

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■営利栽培の試作は、品種試験、それが確定してから地域に適合するかどうか作型試験。
 営利栽培は社会変化と向き合っているので、美しいだけでは通用しないので、社会が求める価格帯と長さ・ボリューム、切り前、そして仕入れ価格になる。
 これらは現状では卸売市場への出荷を前提としてきた。
 一方で2020年6月から改正市場法施行の年と、感染症の地球上での拡大から社会変化が急速に業務需要(長大規格・高値販売)が成立しない様子になっている。大きな変化の第一は葬儀の簡素化(密葬、個人葬、家族葬)。
 また直売所や通信販売等で、直接生活者に販売する場合でも輸送に耐える日持ち性、重厚長大を扱わない(購入者が輸送費負担)宅配便、、、短い規格(=低単価)が重要になっている。
 短い規格の栽培だけを行うと、かすみ草のような陽光気温で一斉開花すると採花が間に合わず廃棄損が多くなる。冬期間の暖房費節減のため早生種主体となっているが、夏場は一斉開花しにくい晩生種主体で生産しないと、陽光気温による廃棄損を多く招く。品種選定はかなり重要である。
 我が家の場合は以前から夏作のため晩生種主体(フォレスト、ホワイトビクトリア、グリーンの品種とピンク種はほとんどが晩生種)。
 通年で同じ品種を扱うという卸や小売りの発想に従う必要は無くなっている。これらの意見は業務需要(主に葬儀の主張)からのものである。生活者中心のホームユース、家庭需要主体の小売りでは、変化にとんだ品種を求めている。
 2020年は感染症の拡大初年で、対応が遅れた、で済むが、2021年以降は社会変化に対応した品種・作型・規格、仕向先の変化で対応しないと、品目自体が必要とされなくなる。国産で大量生産で売れないものを海外輸出するという政策も航空機の減便、国境の封鎖、、、、大きな課題を抱えている。

 同じ品目を1年間(周年栽培)作り続けるという時代は終了している。作りすぎないために、どのような工夫を産地が行うのか?新しい時代になっている。
 海外からの低賃金労働者を当てにして、大量生産していく時代ではなくなった。

 こうした年は、本来、小回りのきく個人出荷の生産者らが先駆的な動きをしていたが、現在の個人出荷生産者は規模を拡大し単一品目を周年出荷するという誤った様式にしているため、いちばん最初に経営が行き詰まるフロントにある。
 地域の直売所や、農協の花き部会等での小規模家族経営の時代になっている。その特徴は少量で社会変化への対応を家族で行えること、である。
 農協生産部会でも大規模経営の生産者ほど、こうした社会変化の時代には、これまでの成功例に縛られること、単一品種・単一栽培技法しか行っていなかったことで、変化への対応は小規模生産者に遅れてしまう。

 試作を多数行うことは、時代の変化に対応する新しい品種・作型・規格、出荷様式、顧客層のことを考えることで、栽培だけを考えるものではない。
 そのため試作を通して、現在のあり方を大きく見直すことが可能となる。その花が美しいかどうか?を超えた価値を試作は持っている。現在の規格に合うかどうか?ではなく、その花を生かす新しい社会をどう作るか?をたえず考えることになる。
 社会に隙間は多く存在し、興味を持つ人々もたくさんいる。

 2000年JFMA(日本フローラルマーケティング協会)がはじまったころから、首都圏の量販店(花良品)の阿部社長と、再投入となる「染め色かすみ草」の店頭販売を行い、毎週末、店頭に立っていたころ、よく言われたことがある。
 
「カンケ君、お客さんは、お店に置いていない花は買えないよ」

 まず店頭で販売してみる、そこから出荷規格・切り前・前処理等の方法を検討し、その花を生活シーンのなかに生かすための入り口を閉ざさない、、、、、

 そのころから現在も、多くの示唆を受けているAFMの井上英明社長は2019年に花の国日本協議会等の会合で、お会いしたとき言われたのは、、
  
「カンケさん、イチバに出ていない花を作ってほしい」

 これはとても重要な指摘。

 感染拡大で拡がるネット通販(インターネット販売)の時代は、また、新たな常識が生まれている。
 取り組みが多様になる時代は、まさに「人が中心」の時代で、コスト重視の単なる製造機械のような農業ではない「小規模家族経営」の本旨によれば容易に生き延びられる。製造装置(生産設備)そのものが陳腐化し経営の重荷となる時代になっている。マスクを手作りする時代とは、何かを考えればよく理解できる。

 5月15日の花の国日本協議会等でのズームフラワー会議で、報告者の一人の仲卸・ネット事業者の社長が、
「昨年、関連会社を買うように進められたが、社業を拡大せずによかったと思っている。提案されるまま、あの企業を買っていれば、現在の変化には対応できず、お荷物になっていただろう」
 また、アウトソーシング(外注)せずに、内製化していく時代にもなっている。これは、社会変化にすぐ対応するためである。特にデザイン、広報等を内製化している。




2020-5月下旬、AFM南青山本店