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withウィズ・コロナは、家族葬kazoku-souの時代

■2020年5月24日(日)

 2019年12月頃からの報道で隣国で発生した新型感染症は、2020年になり、1月早々、マスクが店等から消える事態を通して、全国に広まった。
 1月下旬から深刻な状態がはじまり、3月には様々な変化でそれを日常の暮らしで知る。

 新聞折り込みのチラシが毎日10~30枚(会津地区)あったものが、1~5枚、数枚というのが日常になっている。我が家では新聞を5紙購読し、それが伝える社会変化を見ているが、5月になって2点の新聞折り込みチラシが、家族葬についてのもの(会津若松)である(写真)。

 福島県内新聞は福島民報・福島民友の2紙があるが、「おくやみ欄」の内容は同じであるが、そもそも葬儀各社からの情報で掲載されており、現在の出稿数はとても少ない。老人の時代であるので、おくやみ欄に掲載しない、ということが多くなっている。
 また「家族葬」であることも増えている。
 葬儀式に参加して新型感染症に罹患した報道、感染する恐れがあるからである(不特定多数が集まり、密室)。奥会津の葬儀式でも、香典を頼んで、出席しない事例が日常で、あるいは「シラセ」の範囲をごく少数にしている。
 葬祭会館を使用せず、自宅での葬儀式(少数・家族葬)に戻っている。葬儀式そのものを行わない時代になっている。

 5月13日のズーム・クラウドミーティングで、JFMAのある会員が言っていたのは、首都圏の葬儀式で、「ワンデイ葬儀」(通夜式と告別式を1日、1回で挙行)がはじまっている。花の装飾も極端に減った。婚礼は8月末まで無くなった。

 ウェブサイト(動画)では、この3月から「ウィズコロナ」(コロナと一緒に生きる世界)ということが社会評論者らで言われているが、
 5月22日の『日経MJ』の1面ではじめて、「ウィズコロナ」という中国の消費・流通状況の解説報道が掲載された。日本では「アフター・コロナ」(コロナ収束後、終息ではない)という表現がほとんどである。
 コロナと共存する社会としなければ、非常事態が日常になってしまう。
 どのように一緒に暮らすか、つきあうか、、、、それが葬儀式等で、新たな社会装置化する。

 昭和花き研究会は1984年に設立し、多種草花からかすみ草生産となり、私は1994年から2015年まで代表として、かすみ草の販売・商談を通して日本各地の葬儀店を営業して歩いた(冬季を中心として、1年に150日間、営業出張で卸、量販店、葬儀、婚礼、小売店、産地を歩いた)。そのなかで、バブル崩壊で行き場の無くなったかすみ草は、2000年以降、葬儀会社の仕入れ(80cm秀2L)が多くなっていく。九州では3社の葬儀社に卸市場を通じてかすみ草を納品していたが、月水金の各納品数が1社最低50箱以上(同一品種、秀2Lのみ)であった。
 そのため、昭和花き研究会ではニオイ抑制処理剤が開発されると同時に採用した。昭和村産のほとんどが現在それを使用しているが、日本国内では特に暖地(和歌山・熊本等)では使用されていない。葬儀社、式場を歩いて営業すればいちばん必要なことがニオイ処理である。
 婚礼でも2010年ころからの使用例がドライフラワー需要とともに増え始め、生花のかすみ草のニオイ抑制処理が必須となっている。

 かすみ草の個人需要の開発は2000年以降、染め色かすみ草として食品スーパーマーケットやホームセンターを通じて販拡・プロモーションを行った。当時、花良品の阿部社長が果たした役割はとても大きい。

 この感染症拡大の花栽培では、葬儀式・婚礼等の「業務需要」がほぼ消滅したことを自覚しなければならない。
 その主役の花がかすみ草であった。


 私の営業時代、葬儀社の役員は若い社員を連れ、ある年の7月にかすみ草圃場の見学で昭和村大岐の川流圃場(露地雨除けハウス)に来たことがある。
 せっかくなので、葬儀社の仕入れルートで生花店向け仲卸業と、墓石販売業を開始していたからだ。仕向先はすべて葬儀社支店(各地の葬祭場)を拠点として、社員を、花の営業で歩かせていた。葬儀だけで終わらせない、という経営思想である。
 役員氏がいちばん興味を持ったのは、私の作業場(小屋)で、ロイヤルブルーに染めたかすみ草(吸い上げ処理)である。この濃青を数千本使用して花祭壇を装飾してみたい、、、
 IFEXでは多彩な葬儀社が出展しており、そこに営業に行くことも多かった。一方、日比谷花壇等は「個人葬」を提案していたのが印象的だった。

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 このまま、産地・農協として何もしないで、白いかすみ草の出荷時期を迎えるが、まず80cm2Lの行き場が無くなっている事実を認め、暖地の先行産地はどのように対処したのか(産地廃棄を含め)調査しなければならない(電話取材で可能)。
 仕入れ実需はホームユース(家庭)しかなく、そのためには、8割程度、染め色かすみ草として出荷しなければ、仕入れ価格は80cm2Lで1本70円で終わる。1本150円で、染め対応をして平均100円の維持と思われる。
 どの仕入れにも「予算」がある。
 99円までだと店長裁量で仕入れられるが、100円を超えると本部仕入れ、あるいは本部との協議が必要となる。
 また量販店(食品スーパー向け花束加工会社)の仕入れは1本が30~70円が通例で、買い手の付かない花は、市場廃棄か、量販店に仕入れ予算内で引き取ってもらう(通常かすみ草2Lだと70円)。
 この6月から市場法改正施行となるので、2019年までの経験と異なる場面(廃棄損となる場合、卸市場の受託拒否)も想定される。


 とりあえず出来る対応は、作りすぎないこと(出荷数を3割削減する)、そして、
 1色染めれば、多品目になるので、3色とすれば白を入れて4品目の分散販売となる。現在販売されている業務用吸い上げ染色剤は20あり、通常でも我が家では10色の染めを行っており、2016年から2019年までほぼ出荷全量を染めて出荷しているので、自家の染め体制を組む作業体系に変更すれば、とても容易に転換できる。そのなかで、課題は雨天時の染めである。蒸散に頼る吸い上げ染色なので、作業場のなかの染めスペースにエアコン等を入れ処理室を乾燥させることが必要になる。
 80名いる生産者で染めは20余名しか対応できていない。
 かすみ草産地のウィズコロナ対応は、染めを日常に行えること、である。採花労力に経営資源のすべてを使用する体制から、染め加工する時間をどのように生み出すか?それは栽培面積を3割削減して対応すれば、売り上げが激減しても、前年比同の利益は確保できる。売り上げ額より利益で、先行大規模個人産地は、品目転換を進めている(雇用を止め、家族でできる範囲に、そしてかすみ草やホワイトレースフラワーといった白い花、手間のかかる花を止める)。

 2021年に向けて、ウィズコロナの時代に向けて、仕立て技法の見直し、品種見直し、2020年は、かすみ草そのものの見直しの時代になる。社会変化に対応するための多種試行を行う年になる。私は、専門部会制の時代がすでに終わったので、「かすみ草部会等」は「花き部会」に改称しなければ、部会の名前に行動が制限されて社会が求める新規性の花への投資・研究が遅れ、社会変化に対応できないと考えている。
 水田稲作をみればわかる。転作して野菜・果樹・花きに転換している。単品目部会だと多様な展開を制限してしまう。
 そうした包括的な総合部会のなかに、専門部会を内製化することが相互研鑽に役立つ。そうした行政施策・営農計画をまず各役場が転換することが必要になっている。
 村が持つ昭和村花き振興協議会は、かすみ草振興のための協議会ではなく、「花き振興」そのもの、営利栽培植物の多様さを活かすためのものである。
 社会変化に対応する花き産地のあり方を、新しい農業者を入れて、オープンに議論する時代である(開疎化の時代)。村・県・農協もクラウドミーティング(テレワーク)の仕組みを早急に作る必要がある。

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 銀行川口支店等、事実上CD機のみとなり、銀行も支店統廃合が進む。また農協も経営が厳しく、赤字要因の切り捨てがはじまっている。三島町の山菜加工場等も廃止計画にあがっている。これも社会変化への対応である。 → 大芦の8月廃止









 5/23(土)チラシ






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■5月18日(月)大田花き 磯村信夫社長のコラム → アフターコロナ、品種数を思い切って絞り込む時


 → 小川先生のアフターコロナ5月18日記

 松島義幸さん 5月23日 → 非常事態解除の時期

 JFMA フラワービジネス講座 → 私は11月4日を担当します。