プロフィール

11/10(土)熊本やつしろ日持ちセミナー 72名。てのがれ。つなぐ(関係価値)。

■2018年11月11日(日)

 今日の予定。午前7時すぎ、八代市内の商人宿からタクシーで新幹線新八代駅へ。7:51発で博多駅まで。地下鉄で福岡空港へ。10時台の出発で昼に羽田へ。そこから東京駅、郡山駅、自動車で帰郷。17時、昭和村・からむし振興室へ(打ち合わせ)。


■11月10日(土)晴れ
 博多駅から九州新幹線で熊本県八代市へ。レンタカーで熊本県城南地区の鰐瀬(わにせ)の宮本園芸を訪ねる。9時45分から30分ほど、うき農協管内のかすみ草農家。アルタイルMDを圃場で見る。


 県道を移動し熊本県八代市内へ。11時に八代農協のイチゴ集荷所隣接の北部花き集荷場を視察。販売担当の杉野正樹さんの説明を聞く。
 道の駅竜北に移動し昼食。
 その後、セミナー会場となる北部総合センターへ13時10分、泉俊行さんと再会し2階の会場へ。日持ちセミナーのPCにデータを入れスライド上映試験をする。
 泉さんの農協の軽自動車車両に松島さん、薄木さんと同乗し、管内の切り花生産農家圃場2カ所を視察する。
 グリーンカラー、アリウム等を生産されている宮崎智宏さんの圃場。佐枝義次さんの(本人はデルフィ管理で不在で奥様の案内)リシアンサス(トルコギキョウ)、ハイブリットスターチス(フクカエンのシネンシス多種、1年ごと苗導入する栽培)等を見る。

 セミナー会場では、うきのかすみ草部会(花倶楽部)の部会長、あまくさ農協の販売担当者の吉沢さんらと再会。

 午後3時から4時まで日持ちセミナー。会場後片付けをして、レンタカーを返却し、同社に八代市内の宿泊所まで送ってもらう(午後6時30分までのサービス)。
 宿にチェックインし、午後6時30分に農協の泉さんが迎えに来て、宿近くの居酒屋ゆずで、部会役員の皆さんと夕食懇談会。その後、場所を変えて2次会が終わったのは午後11時。

 視察した圃場管理者の佐枝義次さんに、経営の推移を取材する。夕食会で左隣に座られたので話を聞いた。
 同席に岩村伸吾さん、吉﨑信弘さん、吉永親さんなど、イグサ農家からかすみ草栽培やストック栽培を経てリシアンサス(トルコギキョウ)栽培をされている40才~50才の生産者の話をうかがう。切り花栽培を導入した初代の生産者たちで個人出荷グループから10年前に農協出荷にした人たち。15年くらいの若い産地(花導入自体は古い)で、後発有利で品質管理認証も最初に取得している。
 原油高騰時から県の助成事業により木質ペレットストーブ(県内の間伐材)を導入している。

 農協の杉野さん、泉さんからこれまでの経過と日持ち認証事業の位置づけ等を聞く。
 輸送を担当している三和陸運の南九州担当の黒木一徳さん(八代市)の話のなかで、「やつしろ草」という青い花の存在を聞く。

 イグサからの転換が海抜0m地帯(マイナス地帯)での農業についても詳細を聞く。たたみおもての原料のイグサの生産をなぜ止めなければならなかったのか、、、、

 花はトルコギキョウ13名・カラー・アリウム等を周年出荷しているが、うまく経営品目として成り立たせている。草花類をうまく経営に取り入れている。
 イグサからレンコン栽培、現在はグリーンカラー(湿地性)をされている方も、アリウムを栽培している。

 ストック栽培(冬春)の後作の夏秋作としてトルコギキョウが導入され、それが中心となってストックは無くなる。
 アリウムはすべて茎をくねらせ、スネーク(へび)のように曲げての出荷で、特殊花材であるが、生け花で必要なもの。しかし右側に同席された札幌の生花店の薄木(うすき)健友さんによれば、自分もよく一般的に使用している。
 花のデザインが幅を細くして細長く生けることが多くなり、その狭い、細長の花飾りのなかに動きを表現するのに、アリウムの曲がりは重宝するのだ、という。
 熊本県が開発した実用新案の曲げ方「かぶせ曲げ」が導入され生産者による曲げ栽培は省力化できたのだ、という。

 左となりの佐枝さんの栽培の来歴を細かく聞いているなかで、気になった土地の言葉は「テノガレ te no ga re」である。中心的な経営品目となっているトルコギキョウを栽培しているが、冬期間、低温で開花がゆっくりとなり、そうした時期の「てのがれ」としてハイブリッド・スターチスなどを栽培しているのだ、という。

 品目組み合わせの原理と、品目間の価格差があるものをなぜ導入するのか、、、、小規模家族経営の土地の理念が感じられた。主品目の管理や収穫に空き時間が出来た時期に、手間のかからないもの、省力化できるものが、「てのがれ作物」であろう。
 土地の記憶植物が「イグサ」(緑)。これから商品開発が期待される「やつしろそう」(青花)。土地のアイデンティティ植物を持つ地域は、単品専作にせず、こうした植物を少量栽培し価格の価値ではない位置づけで脇にいつまでも置くことが重要な時代になる。奥会津昭和村では「からむし(苧)」がそれに該当する。営利とせず、暮らしを構成する歴史的記憶植物として脇に置くことが、小規模家族経営の目的から逸脱しそうなときの監査役・ブレーキとなる。

 農協の泉さんは複数品目を立てて部会運営を創造しているが、そのキーワードは「つなぐ」であるという。関係価値は5年前から気づいて実践している、ということだった。
 今後はこの「つなぐ」を商品性と生産者の技量を「そろえる」にランクアップしていきたい、という。

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 日持ちセミナーは国内9カ所での開催を終え最終回は12月4日に栃木県小山市で、花き研究所の市村一雄さんと私(菅家博昭)、松島義幸さんで訪問する。
 どこの県・地区の方でも参加できます。

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 また、国内9カ所の日持ちセミナーの地域の花き生産の現状について有料セミナーですがJFMAビジネスセミナーで11月20日の午後に都内麹町のJFMA事務所地階で開催します。事前申し込みの上、聴講参加下さい。日持ち性向上対策の国内産地の取組の現状と課題、加えて未来型農業である「小規模家族経営型農業」の要点についてもお伝えします。

 → 11月30日のJFMAビジネスセミナー


 来年3月頃、リレーフレッシュネス・セミナー(東京都内)についても昨夜議論されました。

■  → 松島さんの熊本八代セミナー報告 

→ 薄木健友さんの報告





新やつしろ農協 北部花き集荷所

夏秋期は奥の冷蔵庫予冷
現在はトルコギキョウ(リシアンサス)主体

品質管理認証
リレーフレッシュネスの印刷されたスリーブ


松島さん、農協の杉浦さん

セミナー会場
新しい市役所庁舎(建設中)の隣





1冊だけ残った

やつしろ草
黒木さんの撮影した写真