プロフィール

11/9(金)福岡日持ちセミナー85人。10日は熊本。旅の終盤

■2018年11月10日(金)

 福岡市内博多駅近くのこの夏に開店したばかりの商人宿に宿泊している。10日は朝6時30分、朝食。7時15分ロビー集合で松島義幸さんとJR博多駅へ向かう。7時30分、博多駅で薄木さん、青木さんと合流し7時58分発の九州新幹線で新八代駅行き。
 そこからレンタカーを借りて、熊本市城南地区の鰐瀬の宮本宏平さんかすみ草圃場視察(午前10時を予定)。終了後、八代市の集荷所で午後1時、泉さんと合流し、泉さんの案内で管内の切り花生産農家訪問。午後3時より熊本やつしろ日持ちセミナー。

■9日の博多駅近くの会場で開催された日持ちセミナーは85名(生産者が60余名、農協・行政、生花店)。
 宿泊先の商人宿は夏に開業したばかりのTS。
 宿泊手続きをして白い紙に住所・氏名・電話番号を書いて渡して、受付係が部屋のカードキー(電子鍵)と、10cm四方の洗剤の小袋を差し出してきた。
 洗剤はいらない、不要と断り、鍵だけを受け取る。カードキーをエレベータ(昇降機)のなかでタッチしないと、エレベータは動かないところが多くなっている。
 カードをタッチすると宿泊階が点灯した。あるいは行き先階の数字を押す。

 部屋に入ると右手の通常は衣類をつり下げるスペースに、ドラム方式の洗濯乾燥機が設置してあった。
 シャープのジャストサイズ・ドラムES57Cという機種でプラズマ消臭機能が付いている。
 加湿器はシャープのKCーM401で、水は入っていないので自分で入れる方式。
 ベッドサイドの頭部の照明スイッチ等のところはAC100Vのコンセント1個のほか、USB端子(電源供給)が1個付いている。
 昨日宿泊した羽田空港にはUSBの電源(外付け)が設置してあった。充電のために必要な機器(特に現在の携帯電話)。

■福岡セミナー後半の質疑では、枝物生産者等から前処理技術等の質問が複数寄せられた。薄木さんが実際に経験して対応していることを助言された。

 終了後、会場階の別室で交流会(夕食)が行われた。私たちは中間の円卓に誘導された(松島さん・薄木さん・私・青木さん)。
 入れ替わり立ち替わり生産者や行政機関の花担当者が来られた。
 若い生産者も多く、いくつか次の時代の手本になる経営をされている人に出会った。
 小規模家族経営で、主品目に数品目草花を導入されている理想的なものだ。
 当事者の表現としては、無暖房でできるもの、連作障害回避のため土壌消毒をしないことの輪作として草花を作付けしている(ハウス効率を売り上げで最大化せず土壌を守ることを品目導入でされている)、そして主品目は「表作(おもてさく)」と表現され、輪作で入れるものは「裏作(うらさく)」と表現されていた。
 聞き取りは行ったので、時期を改め、機会を見て圃場・経営を現地で調査したいと思っている。
 若い生産者でこうしたことが可能となるのは、父親の世代の取材が必要。後継者の取組が認められることは、生産者の場合、ほとんどないからだ。父はスイートピーを連作して、最後に栽培ができなくなった、という。
 昭和57年生まれの方は、
 表作はリシアンサスで9下から11月の出荷。
 裏作はブプレウム(自家品種、採種)、キンギョソウF1、アスター、ベニバナ等である。農協出荷。

 昭和41年生まれの方は、5カ所に分散した1700坪(標高)の圃場でダリアの周年出荷をされており、リシアンサスが8~9月出荷、裏作でラナンキュラス12~4月、ブプレウム、ヒマワリ。土壌消毒はリシアンサス定植場所では実施。農協を通じた個選出荷。


 → 松島さんの報告


■今日(10日午後3時)のためのPPT(スライド)を作り直す。配付資料は2種で同じもの。

 現在の産地の姿、特に世界の姿は、あるべき姿かどうか?

 現状の品目・品種、集荷所運営方式、出荷方式を改良するのではなく、あるべき姿で検討していかないと社会変化に対応できなくなっている。
 集荷所は予冷のための場所として必要で、しかし検品をいつまでも行うような生産地でいてよいのかどうか?人手不足を解消するためにも、品質管理は生産者個人として、検品を不要とする集荷所運営にしなければならない。
 切り前・1本の調整管理に多様性を求められる時代に、集荷所で個性を消して、造花のような単品目を作り続ける仕組みが陳腐化しているので、そのフィルターを通す品目・規格としていることが、多様な品種を生かせない状況を生んでいる。仕組みを社会変化に合わせることが、生産部会出荷ではいちばん大切なことで、その先に品目追加しコミュニケーション・クロップ(作物)としての旬の草花生産がある。それは単品目産地の持続可能のために必要なことで、単品目を支える新しい仕組みの創造である。
 単品目で関係価値の再構築が難しいほど日本の産地は硬直しているので、それを見直す意味でも旬の草花は新たな関係価値の創造に役立つ。そのことを通して、あるいは新しい考え方(協同の理念)を開発しないと、輸入との競争で、単品目産地は崩壊する。生産者個人ができることは、自然災害に強く、社会変化に対応できる小規模家族経営に戻る、その再評価の時代が来ている。
 アメリカファーストに代表される自国生産物(つまり地産地消)優先の方式の潮流のなかで、単品大量品目を輸出できるのかどうか?求められているのは日本らしい草花になっている。燃料資源の高騰で、世界が地産地消の価値を大切にしている。


 日本経済を支えた自動車産業の社会変化への対応を、どのように見るのか?輸出障壁のため消費国での現地生産になっていく。自動車を必要としない社会(所有からシェアへ、関係価値の変化)に、どのように対応しようとしているのか、、、、学ぶことは多い。

 単品目を周年出荷する時代でもないし、リレー出荷する時代でもない。量販店へのダイレクト・セールス(直接納品)の欧米の仕組みを追随する必要もない。卸売市場が介在する意味と機能・価値を生かすことが肝要。


 単品目の栽培で効率化して出来た空き時間をさらにその作付け増加にしていけば負の連鎖に入っていき経営は破綻する。経営の効率化は経済的自立のためで、生活の余裕(余暇)を得るためのものである。再生産、同品目の規模拡大に使う時代ではない。経営規模を少し減らして採花率(秀品率にはあまりこだわらない、出来たのものを選別してすべて出荷、廃棄率を減らす。このセミナーでお会いした生産者のひとりは「捨てることは、花に申し訳ない」)を高め、小さな経営で、高単価ではなく、全量採花出荷で、利益率を高める。

 社会は人口減少で、縮小する時代に転換している。そうしたなかで生産者通しの協同、人を増やすための知恵(同一品目を大量出荷では産地内競合で産地をつぶす)を働かせる時期に来ている。
 国内10カ所の生産地を調査し講演する機会を得て、次の時代を準備している手本となる生産者(小規模家族経営)が若い生産者で出ていることが、日本の花業界にとって希望であり、諸外国の単品大量生産の後追いに魅力を感じない世代が出ていることはとても重要である。












福岡空港へ進入

福岡空港。曇り。


博多駅東南










セミナー会場、スクリーンがふたつ 横長の部屋で
スクリーンに近い

園芸探偵3号は、残部無くなる(この会場配布分)。