■2024年12月23日(月)雪
・未明より、本日配布の資料作成。
・福島市内の 福島花き市場訪問。
12時 終了しました。帰郷します。
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・午前10時30分、福島県庁 環境共生課に下記の申入れ。自然保護課同席。ほかに前後で、福島県議会、文化課宛て書面を提出。
自然保護課 須藤氏、花輪巧技師、環境共生課 寺内浩晃主査・鈴川真由主査。
・午前11時30分、福島県庁 県政記者クラブで会見。終了後、帰郷。
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2024年12月23日
福島県知事 殿
(文化財課、環境共生課、自然保護課)
福島県議会議長殿
会津若松市・郡山市の風力発電事業での猛禽類保護について(申入書) 写し
菅家博昭
会津若松市内の風力発電事業にかかるイヌワシやクマタカの保護、および調査について本年2月9日、2月20日に訪問し知事宛(環境共生課、自然保護課、文化課)、県議会議長宛(事務局)に申入書をお渡ししております。
その後3月から4月に、先発開発手続の1会社の知事意見・環境大臣意見・経済産業大臣意見(勧告)が出されました。残る2会社の事業についても同時進行で手続き中のようです。加えて隣接する新・布引高原風力発電所計画も手続き中です(以下)。
事業の名称 (仮称)新布引高原風力発電所
事業者 株式会社ジェイウインド(電源開発株式会社)
事業の種類 風力発電所の新設を伴う変更の工事の事業
事業の規模(出力) 65,980kW 33基 + ?増設
事業の実施区域 福島県郡山市湖南町赤津西岐 他
関係地域(※) 郡山市、会津若松市、天栄村
知事意見 令和4年7月25日 ※イヌワシ、クマタカ等猛禽類への言及無し
以下のことを申し入れます。
1.会津若松市(既設8)、郡山市(既設33)風力発電事業地では、41基が稼働中。ここに約60基が新設される計画となっていて、合計100基の風車が建設されます。この総合的な影響を誰も審査していません。
現地は渡り鳥の南下ルートになっており、ハチクマ、サシバ等の飛翔ルートになっています。また猪苗代湖から会津盆地の水田地帯にコハクチョウが行き来をしている場所にもなっています。
こうした重要な飛翔コースに100基近い風車、それも1基200m高さのものを建てて影響が出ないはずがありません。法的審査のほか、倫理的にもこうした開発行為は止めるべきです。
2.当該地域ではイヌワシの生息が確認されています。1995年ころまでは営巣地があり繁殖も行われています。
環境省の『猛禽類保護の進め方(改訂案)』では、過去の生息地での保全措置として、「事業計画地と過去の生息地が重複する場合は、その営巣中心域の環境改変は避ける必要がある。また、採食地として予測される場所についても、できるだけ環境改変がないように事業をすすめることが望ましい。営巣地が不明な場合は専門家と相談して、重要と考えられる地域を定め、同様の対応を行う」としています。
当該地域は営巣地、主要な採食地、移動路となっており、開発はできません。
風力発電事業での猛禽類の調査と解析は『ダム事業におけるイヌワシ・クマタカの調査方法(改訂版)』(2009年)をもとに行われています。この35ページに「調査期間」示されており、イヌワシは3年、クマタカは2年で、いずれも繁殖年を1回含むこととされています。
福島県知事意見等をみても猛禽類調査の指摘が少なく、現在より3ヶ年以上の猛禽類調査を行わないと開発事業と保護の調整は不可能です。
3.環境省が本年1月に公表し国民の意見を聴取した「風力発電事業におけるクマタカ・チュウヒに関する環境影響評価の基本的考え方(案)」の53ページでは、
「ある地域における風車建設地の増加に伴って、相加・相乗的に影響が増大する累積的影響について検討が必要である」
「移動先に隣接ペアのテリトリーが存在していた場合、隣接ペアとの競合の影響がさらに隣接するペアへ波及していくおそれがある。このような将棋倒しの影響はその地域における生息密度と関係しており、生息密度が高くペア間の行動圏が密集しているような地域では影響が大きくなる可能性があり、今後の検討が必要である」
このことは、まさに当該地域の問題です。
4.資料に経済産業大臣意見を添付しましたが、猛禽類イヌワシ・クマタカ、渡り鳥のハチクマ、サシバ等について、事業者はなんら調査をしていません。追加調査を実施するとしても、いまから3ヶ年の調査が必要です。そのように指導すべきです。
以上のようなことから、風車建設事業は行うべきではありません。
-----添付資料-----
(資料1)
クリーンエナジー合同会社「(仮称)クリーンエナジー会津若松風力発電事業 環境影響評価準備書」に対する勧告
令 和 6 年 4 月 1 6 日
経済産業 省 商 務 情 報 政 策 局
産 業 保 安 グ ル ー プ
(2)鳥類に対する影響
対象事業実施区域の周辺には、サシバ、ノスリ等の渡りの飛翔が確認されているほか、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第 75 号。以下「種の保存法」という。)に基づき国内希少野生動植物種(以下「国内希少種」という。)に指定されているクマタカの営巣が複数確認されている。しかしながら、猛禽類の調査及び鳥類の渡りの調査において、風力発電設備の設置を予定している箇所周辺の尾根の視野が十分確保されていないことに加え、種の保存法に基づき国内希少種に指定されているイヌワシの飛翔の確認情報がある。加えて、クマタカについて、予測における行動圏の内部構造の解析並びに解析結果を踏まえた評価及び環境保全措置の検討について準備書に記載されておらず、鳥類への影響の調査、予測及び評価並びに環境保全措置の検討が十分とは言い難い。このため、本事業の実施による鳥類への影響を回避又は極力低減する観点から、以下の措置を講ずること。
ア クマタカのペアごとに、「猛禽類保護の進め方(改訂版)」(平成 24 年環境省)を踏まえ、営巣中心域、高利用域、好適採食地等の推定等、行動圏の内部構造の解析を実施すること。行動圏の内部構造の解析の際は、解析に用いる飛翔、繁殖行動等のデータ、それらを得た調査手法等について専門家等に明示的に説明した上で、得られた助言を踏まえ、必要に応じて追加的な調査を行うこと。
イ クマタカについて、行動圏の内部構造の解析等の結果を踏まえ、改めて評価を行うとともに、適切に環境保全措置を検討すること。その際、営巣中心域と重複する配置又は営巣木から好適採食地への移動経路を分断する配置の風力発電設備が存在した場合には、専門家等からの助言を踏まえ、設置の取りやめや配置の変更を含む追加的な環境保全措置を検討すること。
ウ クマタカの繁殖活動への影響が懸念されることから、営巣期においては、高利用域における風車敷、道路等の建設、大規模な森林伐採等の工事を回避するなどの環境保全措置を講ずること。また、クマタカの飛翔状況及び繁殖状況に係る事後調査を適切に実施し、繁殖の放棄等の重大な影響が認められた場合には、専門家等からの助言を踏まえ、追加的な環境保全措置を講ずること。
エ 猛禽類の調査及び鳥類の渡りの調査において視野が十分確保されていないことに加え、鳥類の風力発電設備への衝突、移動の阻害等に係る環境影響評価の予測には大きな不確実性が伴うことから、稼働後の渡り鳥の渡りの季節、時間帯等における飛翔状況調査及び稼働後のバードストライクの有無に関する事後調査を適切に実施すること。また、事後調査の結果、衝突や移動の阻害等、重要な鳥類に対する重大な影響が認められた場合は、環境保全措置に係る最新の知見の収集に努め、専門家等からの助言を踏まえ、ブレード塗装やシール貼付等の鳥類からの視認性を高める措置、渡り鳥の衝突のおそれが高い季節及び時間帯の稼働調整等の追加的な環境保全措置を講ずること。
オ 稼働後においてバードストライクが発生した場合の措置の内容について事前に定め、重要な鳥類の衝突等による死亡・傷病個体が確認された場合には、その確認位置、損傷状況等を記録するとともに、速やかに関係機関との連絡及び調整を行い、死亡・傷病個体の搬送、関係機関による原因分析及び傷病個体の救命への協力を行うこと。
2024年12月22日閲覧
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(資料2)
会津若松市役所ウェブサイト 「会津若松市内の風力発電事業について」より
https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2024041100275/
2024年12月22日閲覧