プロフィール

05/21水、「木を抜く女」、飛騨高山から安房峠越え、安曇野、麻績村へ

 ■2025年5月21日(水)

・会津坂下の2024年植え越冬据置シンフォニーが5月19日開花。白いカスミソウ。


下中津川の本名タカシさんのダウカスキャロータ


・野のヤマニンジン開花を見る。形状の違いがあり 系統差を感じ、現在の切り花に良い系統を選ぶ。


松山さんFBより

ラジオおおまた
https://spoon.onelink.me/Uuzo/9yi2pbc2



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・飛騨高山宿泊の宿を選定した理由は、「花」という名前であったから。数階建ての古い宿。駐車場は2か所に分散しており狭いが、行ってみて驚いたのは飛騨国分寺(三重塔)の隣であったこと。街路は日本国外から多様な人種が観光で来ている。街を歩いて、地元の人にそれとなく話しかけてみる。今年は藤棚が咲かない、、、、京都の混雑を避け、飛騨高山を選ぶ海外人が増えている。ここから茅葺き合掌屋根の白川郷をみて石川県等に向かう。言語では隣国の言葉に加えて、スペイン語圏、英語圏等が多い。みなスマートフォンで動画を撮影している。飲食店の看板には複数言語(主には英語)、ドラッグストアが入り、地元特産のものではないものも多く人気だ。午後6時に歩いたが、ほとんどの店は閉まっている。宮川沿い街路の夕涼み散歩が多い。

 インドネシアのバリ島の市街を歩いているような錯覚になる。

 店名が、がじゅまる、で引き寄せられ向かった、奄美出身の方の経営するカウンター6席程度の店で夕食を食べた。先客は2名。男性はタバコを吸っている(吐いている)。カウンターのいちばん左の席と、いちばん右の席。その中間に私たちは座った。ご主人に聞いてみると30年前に飛騨に来られた、という。子ども相撲の番付が2枚、貼ってあった。


・大量のドライフラワーで装飾された店内、天井は埋め尽くされた乾燥花のある喫茶店に入って、ホットコーヒーを頼んだ。最初にお金を支払って、カウンター席に座る。いまのレジはタブレット端末が多い。

 ノーネイムカフェ(名前の無い喫茶店)という店名について、カウンターの向こうでコーヒーを入れている女性に、ひとしきり作業が終わった様子をみて、聞いてみた。昨年開店した、という。花の多いのは、生花店が経営しているカフェからだ、という。その生花店の場所を聞いた。

 店を出て、外国人のごったがえす通りを横切り路地に入る。生花店はすぐにあった。

 しばらくそとから店内を眺めて、店内に入った。2名の店員が忙しくフラワーアレンジメントを製作されている。店内を撮影して良いかたずねると、良いですと言われ、撮影する。すぐにお客様ができあがった花を取りに来られ、店員の方が車まで運んで店を出た。店内には受け取りを待つふたつの大きな花束が棚にあった。

 天井には、タラスピ(なずな)が多く下がっている。多様な花が下げて、乾燥中。外から戻られた店員の方に、どこから仕入れをしているのかをたずねた。いろいろ会話するなかで、名古屋花き市場に勤務されていたことがあるかたが現在の4代目の社長とのこと。帰宿して東日本板橋花き市場の水野さんに聞いてみると、昔の同僚だ、という。

 6月4日に、7月のカスミソウフェアの打ち合わせで農協昭和支店に来られる水野さん。商談が終わった時間帯で、下中津川の昭和村公民館で、無花粉トルコギキョウソロPFの勉強会を開催する。その水野さん担当の内容は、秋田のJAうご、が同じく取り組んでいるソロPFの先行事例(栽培が、3月はじめ植え、摘心終え、分枝)を紹介するppt(パワーポイント)のデータを昨日に電子メールでいただいている。

 フラワー空ノ色、というお店で、この方々が店内で加工する技法と、品目を教えていただいた。ラン類と、もう1品目以外は、ほとんどドライ加工されている。特にカスミソウの白を残すには、咲きすぎない状態(若い状態)がよいと思うと語られた。



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富山県 小院瀬見 こいんせみ集落


■2025年5月20日(火)

 富山県南砺(なんと)市の福光温泉の建屋の右手が、小院瀬見集落の堀宗夫さんの事務所「福光麻布」である。まんが道の高岡市から、軽自動車で走行し、約束の時間の30分前に事務所の駐車場に着くと、堀さんの軽自動車があった。荷台には、事前にお願いしていた、小院瀬見集落内に自生しているカラムシを掘り上げるためのスコップ2本、鍬、掘り取った根を入れるミカン箱大のダンボール空き箱が積んであった。

 事務所の玄関の戸が開いていたので、なかに入り、堀さんにあいさつ。打ち合わせ。午前9時に関係者2名が来られ、今日の作業、カラムシ植えの手順を共有した。

 事務所の脇は、食堂があったが、1975年開業で公的温泉の食堂、、、この3月に閉店した、という。簡素な良い食堂であったので残念である。そのため、からむし植え作業後の昼食は城端(じょうはな)インターチェンジ入り口にある、おにぎり食堂となった。堀さんが、飛騨高山に向かう私たちのために、そこに案内したのだと思った。

 この、おにぎり店は、自動発券機で必要なおにぎりを入力すると厨房に送信され、食券番号でアナウンスされ引き取りカウンタで受け取る。正午前で、すでに食券販売機前には20余人が並んでいた。駐車場に車が多かったので予測できたが、すごい混みようだ。地元の労働者が多い。店内の張り紙に人気1位の、とろろ昆布巻きおにぎりをひとつと、みそ汁を注文した。そして、ふきのとう味噌のおにぎりもタッチパネルで注文入力した。千円を入れ、現金支払いするとおつりと食券が出てくる。

 ふきのとう味噌がメニューにあるのが以外であった。会津田島の土っ子田島ファームの人気商品でもあるからだ。また同社に勤務されている若い方のご自宅の民宿でも、人気はフキノトウと、その加工品のふきのとう味噌なのである。春から夏まで売れる、という。彼に詳しく聞くと、「ほどよい苦味(にがみ)」と、野の植物であることが人気が失せない理由ではないか?と語られた。

 おにぎりには三角のてっぺんに具を1cm出し、ノリで包むことで、素材の違いを訴求している。食べてみると垂直に、フキノトウ味噌が棒状に封入してあった。

・福光温泉から自動車にて橋を渡り左折、姫シャガと、グリーンのタネになりつつあるヤマニンジン群生開花する道を小院瀬見集落の畑まで進む。右手に村に向かわないで、左道を下がり、畑に行く。右手の神社境内にはもとの学校分校が建っている。2階建ての建物は、昨年から今年にかけ造作、手直しして交流施設にしてあった。これは堀さんたち集落の新聞『小院瀬見新聞』で特集されている。1年前から発行がはじまり3カ年は継続が決まっている(助成事業)。その取材・編集は地元県内紙を定年退職された中島さんが担当されている。中島さんは今回の小院瀬見に自生するカラムシを畑に移植する作業も、取材された。

 ちょうど1年前に小院瀬見の自生カラムシの繊維化のワークショップで来たときも、夜に会食事にはじめてお会いし、取材された。

 小院瀬見地区のはずれにもと家屋が建っていた敷地があり、そこに1mの土盛りがあり、そこに葉裏が緑色のカラムシが多数自生している(前年調査)。小院瀬見のカラムシはすでに草丈60cmほど成長している。その根を掘り取り、匍匐根(ランナー)を15cmに切り揃え、また主根(栄養根)を持つ株も畑に植えた。

 6m、2mの区画は、堀さんが借用した小さな耕運機で事前に耕起してあった。耕運機には青いシートが掛けてあったらしく、そのシートは風で剥がれていたので直そうとすると次に借りる人があるので、そのままで良いと言われる。

 鍬で、1条の溝を切り、15cmに切り揃えたカラムシ根を斜め45度に先端を土の上に出る深さに20cm間隔で置いていく。そこに先端部5mm程度出るように、土をかける。この植え方は、ホッカケウエ(ほりかけうえ)というやりかたで、条(畝)間は30cmあける。次に植える溝をクワで切りながら、その土を、並べた根に掛ける。次の溝には対矢羽根状に根を置く。伝統的な会津の植え方である。

 当地、越中地域(富山)での、からむし植え方については聞き取り調査文献等が見当たらなく、アサの産地に転換しているので、からむし植え技法について掘り起こす必要があると参加者に伝えた。土地にあったやりかたがあるはず、だからだ。カラムシは山形県大江町等の最上苧(もがみそ)が大量に越中富山地域には江戸時代から輸入されており、早くに越中域内カラムシ産地は紐など自家利用のものに縮小されている。

 5列のカラムシを植え(1列約50根)、バインダーで刈り取り、保管されていた乾燥いなわらを植えた畑に散らして、草除けとして作業は終了した。出来上がりを撮影し、記念撮影した。

 除草が今年、来年の主たる管理作業になり、3年目の初夏に収穫する。からむし引き(繊維化)の技術は、長野県麻績村でカラムシ栽培をしている昭和村織姫体験卒業生のところで昨年に教わってきている。

 収穫までの期間は、小院瀬見地区を訪ねる人たちの視察研修ルートに入れて、生育過程を伝えるのだ、と堀さんは語った。

 この11月はじめに石川県内で、日本麻の会の集会(鹿沼の大森さん主宰)が開催され、その最終日の見学ルートに、福光麻布会館が入っている、という。


・小院瀬見に引っ越して暮らし、子どもたちを育てている西井さん。昨年(2024年)夏に、佐藤孝雄さん・中井俊之さんお二人が南砺市内で自作曲を演奏されたのに感動した話をしてくださった。「田植え唄」から会津の四季を歌ってくださった。また聞きたいのだ、という。堀さんは今度はみんなで昭和村に行って、ファーマーズカフェ大芦家で昼にライブをやってもらいましょう、と。


小院瀬見の木を抜く女

・西井満里さんは、小院瀬見で家族で暮らし始め、小さなこどもたちと、山菜をとり、川のイワナをとり、豊かな暮らしに感動していたが、堀さんが実家に戻られてから、小院瀬見の復活のための活動に賛意され協力を続けている。カラムシ植えにも参加された。ヤギも飼育し、ニワトリも放し飼いにしている。ニワトリのフン(鶏糞)も、カラムシ畑に施肥したいと言っておられた。

 堀さんが自家の杉林の1本を伐るのに、10万円を支払ったことに、西井さんは驚いた。植えて100年もたった木が売れない時代。それも費用負担して除伐してもらう、、、村の周囲にある山道は、自然からの圧力で、道にたくさんの木の幼生(樹)が生えているのに気づく。

 この幼樹が生育すれば、自分の子らが大きくなったころ、道は森林に戻ってしまう。それを防ぎ、山に通う道や、集落内の道ばた、水田の土手などに、周囲森林が散布する種子から芽生えた幼樹を引き抜くことを日課にしている。1日に最低10本を引き抜く、と決めている。

 今回のカラムシ植えに参加され、おぎにり屋での昼食時に、西井さんに、この幼樹引き抜きの近況をたずねてみた。

 「2016年に堀宗夫さんが小院瀬見に帰られてから、スギの木1本伐るのに費用が10万円かかることを聞いて驚いたんです。放置しておいたら山菜取りに山に通う道が森に戻ってしまう。その年から1日10本の苗木を道ばたから引き抜くことを日課にしたんです」

「引き抜くのは、道ばたの自然に生えたスギの苗のほか、多い順に、ケヤキ、ネムの木、クワ、フジ、ユズリハ、ウルシの仲間のハゼウルシ、これが抜けなく手に絡んで引き抜くと樹液が素手についてかぶれるのです。いまこんなふうに(手を見せる)。あとタニウツギなど。娘も道を歩きながら、母の真似をするようになりました。二人一緒に毎日10本、木の苗を抜いています」

「私の姉妹の家族と、公園のように管理された森林を散策したときに気づいたのですが、下を見て幼樹苗を探して歩くくせがついた自分に気づいたんです。下をみて歩く必要が無い散歩は、どんなに自分を解放してくれるか、ってこと」



 


小院瀬見のカラムシ畑

左から カラムシ根を植える西井さん クワを持つ堀さん 取材撮影の中島さん





https://youtu.be/2ak_dM2EHKE?si=tOf3yibdUTx1tHDG