プロフィール

03/12水、昭和村役場に舟木幸一村長を訪ねる日

 ■2025年3月12日(水)

・午前10時、下中津川 昭和村役場 舟木幸一村長に、農林水産大臣賞(かすみ草銀河)の受賞報告(2月14日授与)。11月に明治神宮の農林水産祭参列。


・その後、家裏の、山水道の修繕。水が出なくなり三日目。水槽等を掘る(2m積雪)。




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■かすみ草銀河ウェイについて、4月5月6月の『広報しょうわ』に原稿を執筆した。




広報しょうわ 菅家博昭 2025年4月号原稿 2025-3-12


新かすみ草・銀河(1)


 2024年8月30日、福島県郡山市内のJA農産物直売所「愛情館」旧店舗にて福島県内の切り花の品評会が開催された。私の出品物「かすみ草銀河」が第1席の金賞(農林水産大臣賞)の選出された。昭和村での試作から15年目になる。私の受賞は2018年に続いて2回目である。

 2025年2月14日、福島県郡山市内の福島県農業総合センターで表彰式があり、農水省東北農政局の参事官より賞状と盾を受領した。

 同年3月12日、昭和村役場を訪問し、舟木幸一村長にこれらの報告をした。このかすみ草の育成経過について本欄で数回連載する。11月には明治神宮の大嘗祭に参列する。

 私は1984年から2014年12月まで大岐で設立された昭和花き研究会に所属し、1999年に一人イスラエルのかすみ草育種会社ダンジガー社を訪問。その後、住化農業資材(株)のかすみ草育成に昭和村大岐での現地栽培試験を担当した。そのなかで、「フォレスト」「ホワイトビクトリア」「ノート」等の作出に関わった。「ホワイトビクトリア」では2018年8月県の品評会での第1席となり、2019年11月の政府主催の大嘗祭(明治神宮)に参列している。

 かすみ草の育種は、多様な新種のかすみ草を、現地でどのような栽培をして社会が新しく求める商品形態のものを提供できるか?将来の社会像を考えるなかで行う仕事です。多様なかすみ草は容易に作出可能ですが、問題は社会への定着です。銀河という新種のかすみ草の作出は15年前からはじまっています。


(1)2010年3月17日、都内の大田花き(株)にて9時から14時まで欧州ドイツに本社を置くセレクタ社の3名との会議が行われた。そこでスペインのバルセロナ支社のジョルディ氏、後に2011年6月8日に昭和村に来るリチャード氏、セレクタのドイツ本社の社長との会合だった。

 この会合は、当日の会議の通訳も兼ねた大阪のクリザールジャパンの海下展也さんから、セレクタ社が日本でかすみ草の品種を販売したいので、相談したいと言われ、この日が設定された。大田花きで行ったのは当時・昭和花き研究会の主要な出荷先市場であったため(昭和花き研究会は2014年12月に解散し農協部会に合流・現在会津よつば農協かすみ草部会員)。

 大田花きの商品開発担当の福島市生まれの宍戸純さんが同席された。

 セレクタ社が育種し、昭和花き研究会が生産、大田花き(卸)、中央花卉(仲卸)で3カ年独占し生産販売を行い、新しい流れを作る、ことで合意し、品種導入・試作を行うことになる。その後、大きな枠組みを話し合い、同年10月20日(IFEX開催前後)に2回目の会議が開催された。

(2)2010年10月20日(水)午後、セレクタ社と大田花きにて3月17日以来本年の取り組み結果について、懇談。大田花き宍戸氏、販売担当松永剛志氏、中央花卉斧田社長・中谷隆敏氏、菅家、通訳は海下氏。セレクタは3月と同じ3名。12人。

 かすみ草パールシリーズ。銀河(CV405)、セレブレイション、ブロッサムの試作結果。夏に品種の命名を依頼され海下展也さんと私で、日本名の花が無いので銀河gingaという名称提案をしたところ採用された。

 それまでセレクタ社かすみ草の日本側のパートナーは群馬県のカネコ種苗(現在スターマインというかすみ草を展開)であり、昭和花き研究会(私の岩下の圃場)としても2009年にカネコ種苗を通じてセレクタ社の新品種かすみ草CV系の試作を経験していた。

2010年3月17日 大田花き会議室(東京)
左手前より海下さん、宍戸純さん、ジョルディさん、セレクタ社長、リチャードさん

下は2回目の会議
2010年10月20日、大田花き会議室






広報しょうわ 菅家博昭 2025年5月号原稿 2025-3-12


新かすみ草・銀河(2)


(3)2011年3月11日は大震災、その後原発爆発。

 6月8日(水)晴れ。午後2時、セレクタ社のリチャードさんが、宇都宮の深水孝明さんの運転する乗用車にて来村された。大岐の境の沢圃場・奈良布圃場・岩下圃場・大田圃場、菅家育苗ハウス、矢ノ原高原、大芦家と案内しました。標高千mの博士峠を越え、会津若松市栄町のカゴタ(籠太)の2階で、会津MPS連絡会に参加した。

 6月9日、今日の午前9~11時は下中津川の昭和村公民館で北海道から九州までの取引先卸の方々と昭和花き研究会の生産者との会合。午後はセレクタ社のリチャードさんによる講演会で参加者は昭和村花き協議会生産者会員全員となる。

 3年目となるセレクタ社育成品3種(銀河、セレブレイション、ブロッサム)の試作で、はじめて育種会社の当人らが欧州から来村され、どのようにかすみ草を育ててほしいのか、環境を見るなかで一緒に考えた。

 リチャードさんはオランダ人、スペイン在住19年、48歳。ガーベラやカーネーションを担当し、アフリカと中南米のかすみ草産地の育成にかかわりながら、今回アジア地区(日本、韓国、中国、インド等)へ。


■2011年試作 昭和村大岐 標高730m

 ブロッサム5月12日苗、仮植。6月6日定植。開花8月10日(岩下上圃場)

 銀河4月20日苗、仮植。5月19日定植。7月20日開花。


(4)2012年11月3日 (土)、スペインのカタルーニャ州の花市場、カスミソウ栽培地を訪ねる。晴れのバルセロナ市内。10時より16時まで北西部のカタルーニャ州の花市場、その北の生産者2カ所でカスミソウ栽培を見た。

 セレクタ社のラモーンさん、セバスチャンさん、農家のモリナスさん、エストラーダさんにはたいへんお世話になりました。

 

(5)その後、日本事務所(セレクタジャパン)が京都のポールさんの自宅となり、3カ年の独占販売が終わり、セレクタのかすみ草「銀河・銀河ウェイ(銀河ウェイは下枝が伸びる品種で販売時は銀河としている)」2種の生産地は和歌山・熊本・北海道に拡大し、極小輪のプチパールを発売。

 2013年10月、大岐にてプチパール開花。2014年9月、プチパール日持ち試験(東日本板橋花き)。2015年プチパール栽培(佐藤太君、集荷所勤務)。

 会津坂下町海老沢の佐藤充さんプチパール栽培(2016年)。


(6)2016年秋にフクカエン種苗の松永亮さんにより、千葉県南房総市の金井園芸(金井隆さん)にプチパールが導入され、2017年2月の関東東海花展でプチパールが入賞され脚光をあびる。春、会津若松でプチパール研究会。


昭和村奈良布
2011年6月8日
深水さん、菅家君、リチャードさん



矢ノ原の巧さん圃場にて





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広報しょうわ 菅家博昭 2025年6月号原稿 2025-3-12


新かすみ草・銀河(3)


(7)2017年6月30日(金)午後3時から、奥会津・昭和村下中津川の昭和村公民館2階研修室で、昭和村花き振興協議会(喰丸 立川幸一会長、事務局は役場産業係山内康次係長)の主催で、花の学習会が開催された。

 「世界各地のかすみ草生産国の現状と課題」スペイン・バルセロナのセレクタ・カットフラワーズのジョルディ社長Jordi Caballeria Treserraが来日講演された。通訳は名古屋の小縣信也氏(セレクタジャパン)、同行で京都のオランダ人ポールさん(セレクタジャパン)。

 講演会終了後、セレクタ社のかすみ草・プチパールを栽培している会津地域の生産者ら11名で「プチパール研究会」を開催した。場所はファーマーズカフェ大芦家で6時20分まで。店主の佐藤孝雄氏が7月1日のブログに「講演会のあと、大芦家でジョルディ社長を囲んで夕食会が開かれた。参加者は食事をしながら情報を交換。ジョルディ社長の「農家の思いが花に伝わる」という言葉が印象的だった」と書かれているが、ジョルディ社長は誠実な方で、話の含蓄も多く、カタルーニャ工科大学で農業工学を専攻された。

 2017年は日本の種苗会社のミヨシとセレクタは業務提携し、これまでセレクタのかすみ草を販売してきた名古屋のフクカエン種苗(銀河ウェイ、プチパール等扱い)と2社になる。2017年に発売されたホワイトウィッシュという新品種のかすみ草はミヨシからの納品で、5月、6月に昭和村内の試作圃場等に植え付けられた。


(8)2024年7月11日、かすみ草銀河ウェイを、15年前に試作を行った岩下(上)圃場に作付けた。2017年に露地草花圃場に転換した場所で、かすみ草は7年間栽培していない畑。連作障害にならないよう露地草花とかすみ草の輪作。そして「かすみ草は露地雨除け栽培」を40年間、守っている。現在のようにハウス内で最初から栽培すると高冷地の良さ(そよ風で育てることと、露天での冷涼さ)と、降雨による土壌清浄化の力を無視し、朝露のダニ等予防力を失ってしまう。現在のかすみ草生産は異常な技法によるもので肯定できるものではない(土が砂漠化)。そのため単茎開花が日常となり、高温によるブラスチング(未開花つぼみの多発)、ダニの蔓延等が発生している。産地の永続化・百年産地のためには、作期ごとに栽培技法を違えて、同じ技法で出荷を続ける単一化を見直す必要がある。


 2024年8月10日(土)台風5号接近。曇り、蒸し暑い日。露地草花のディル、フェンネルはすべて仲卸からの注文で希望数量にこたえることができていない。 

 岩下(上)圃場の、新ウネにハウス22m1棟を建てた。7月11日定植の銀河ウェイがあり、水やりも何もせず、定植しただけで休んだ畑の力はすごく、草丈も60cmほどになっている。施肥はかすみ2号を10kgのみ。強風で倒れる危険性があるので、すぐにハウスを90cm間隔アーチで。22mm、ありあわせのアーチ材料を集め、過日購入した2間のパイプと、新接合器具を使用。赤防虫ネットをまわした。

 8月下旬に開花がはじまり、そのうちの五本を福島県の花き品評会用に送出したところ、大賞となった。91歳の父・清一(せいいち)は、このかすみ草を岩下の畑で見て、40年前にはじめてかすみ草を栽培したころの「勢い」があると感じたという。

 結果はそのとおりとなった。畑を休ませるという大切なことを学んだ年になった。


2017年6月30日
昭和村公民館二階研修室




ポールさん、小縣さん、ジョルディさん

立川幸一さん、山内康次さん

セレクタ社 ジョルディさん



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プチパール研究会




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