6/5(火)矢ノ原かすみ草栽培事例、中世漆器の技術転換と社会の動向(四柳嘉章)れきはく210集

■2018年6月5日(火)

 早朝より昨日の残りのユーカリ苗の圃場定植作業と、かん水(水やり)。

 午前8時、MPS本多氏、かすみ草葉採取200g立ち会い。その後、会津盆地の病院へ父を送迎。

 かすみ草プラグ苗の入荷日で、摘芯し圃場定植予定。

 明日の降雨は2日間にわたるように変更となっている。梅雨前線の北上による。
 週末以降は台風が2個北上してくるので、ハウスの屋根ビニルと止めているマイカ線を引き締める作業。ハウス妻部の防風ネットの装着等が必要になる。


→ 現地審査(品質管理) 高尾嶺農園(にいつる)

→ かすみ草を栽培へ 大芦家


→ トレンドの変化、キクはディスパッド・マムが相場を作る


■村内矢ノ原圃場(標高約650m)での、栽培体系は、かなり多様なものが同時に行われている。立川幸一さんのハウスは、すそに防虫ネット(防風を兼ねる)を巻き、屋根ビニルの被覆をすべて終えている。完全なハウス栽培で、大岐の露地雨よけ栽培とは異なる。また摘芯の技法も、ポット仮植した苗は摘芯せずに、圃場で生育過程を見て、高節位で摘芯している(熊本等と同じ技法)。

 一方、早生かすみ草の栽培で、村内ではミヨシの谷一道さん(アルタイル育成者)が普及した2回摘芯技法がアルタイルやベールスターの栽培では普通になっているが、開花時期が遅れること、大量のかん水作業や2回摘芯作業後の萌芽の整理にかかる手間の多さ等課題が多くなっているので、無敵摘芯定植し30日程度での高節位摘芯が行われている。

   プラグ苗直接定植(アルタイルMD)し、無摘芯で1ヶ月ほど生育後に高節位での摘芯が効果が高かった(2L率)といいます → 矢ノ原でのかすみ草の高節位摘芯事例


 仮に、2回摘芯技法を採用する場合、その意味は、萌芽数の確保ではなく、根の張りに対する時間の確保であるため、ポットで1回目の摘芯を行い、ハウス内定植(露地雨よけではなく、かん水チューブを敷設したハウス内で、なまかぜを当てない)し、生育を見て、2回目の摘芯をする。シュート(芽)が伸びて開花しようとするものを、摘芯し、生育を止め、さらに根を張る時間を確保する技術で、その根の量が2回摘芯後の地上部に反映する。プラグ苗を摘芯しポット仮植し、圃場に定植。そして生育をみて2回摘芯を行っている生産者もみられるが、根量の確保の意味から言えば、時間不足となっている。

 いずれ、アルタイルやベールスター、スターマイン等の早生系品種は新苗植で、夏秋作60~70cmで開花してしまうので、最初から風を当てない構造、ビニル被覆したハウス内に定植し、かん水主体の管理を行う。風を当てないハウス内でだと、+10cmが確保できる。いずれも定植後30日間の管理(かん水・液肥)で根量が確定するので、晴天時には地温を下げる遮光スクリーンを屋根に張るか、山際の午後にはすぐに日陰になる場所等の圃場を選定する。
 大岐(標高730m)の場合、春から夏作のかすみ草は高畑や新田等、滝谷川の左岸域に定植することが経験的に草丈を伸ばす。これは午後3時にはクイナ山の日陰になるため、高温防止となるためである。
 そして、秋作の場合は右岸、特に境ノ沢圃場・坂の上圃場等は秋陽が豊富なので、そちらに7月定植分を植えている。
 高畠に秋作を植えると、咲かないで終わってしまう。

 夏作で、西側裾に遮光資材を巻くのも、草丈を伸ばすことに効果的である。

 まとめると、矢ノ原圃場での立川幸一さんのかすみ草栽培は、プラグ苗導入(アルタイル・ベールスター等)ポット仮植(ポット内で摘芯は行わない) → 仮植約2週間目に、屋根ビニル・防虫ネットで被覆したパイプハウス内に定植 → 灌水チューブによる灌水管理 → 生育を見て脇芽が出るくらいになったときに(約30日程度経過後、時期で異なる)高節位で摘芯(ピンチ)→ 大量の灌水の継続(灌水チューブ)


立川さんのブログ 会津っこ日記より

無摘芯(ノーピンチ)でポット苗を定植し、
約30日程度経過した段階で、
高節位で1回の摘芯で終える。
矢ノ原圃場
2016/06/14







   →かん水チューブ  → みずやり



 





■『国立歴史民俗博物館研究報告 第210集』(2018年3月刊行)は、中世の技術と職人に関する総合的研究で、2010~2012年の共同研究の、出版物となる。
 特に、四柳嘉章「中世漆器の技術転換と社会の動向」は大きな意味を持つ。

 11~12世紀にかけて材料や工程を大幅に省略し、下地に柿渋と炭粉を混ぜ、漆塗りも1層程度の簡素な「渋下地漆器」が出現する。
 やがて15世紀には食漆器の樹種も安価な渋下地に対応して、ブナやトチノキなど多様な樹種が選択される。
 椀の荒型を作る道具である手斧も中世は直刃である。U字状中刳りのもの(『奥会津の木地師』に見られるような)は中世には出現していない。 




 → 四柳氏は2017年10月に福島県立博物館(会津若松市内)で講演されている。1枚のPDF