4/29 地域農産物かすみ草と公共(地方自治体)の役割

今年、会津よつば農協かすみ草部会では、新規就農者が10名(うち1法人、柳津町6・昭和村4)、合わせて77名となった(昭和村52・柳津町22・三島町は3名)。
 柳津町では農協部会に属さないで個人出荷をしている生産者が琵琶首、大野等にいる。
 金山町では昨年新規就農者が1名、農協部会を脱退した大規模生産者が1名、いずれも個人出荷をしている。
 2015年12月に解散した昭和花き研究会は、農協に所属しない独立した団体で、私が代表を務めていた(1984年設立)。解散し、2016年農協部会に加盟した。理由は輸送費の大幅値上げである。

 昭和村役場は、農協に営農指導助成金を村の予算から支出しているが、農協昭和支店にかすみ草の営農指導員は不在で、柳津町・三島町にもいない。
 新規就農「予定者」は、かすみ草生産農家で1年間研修をしてから就農する。就農にあたっては栽培施設・種苗費等への助成がある。
 しかし、就農してからの栽培指導は行われない。営農指導員が不在であり、福島県の金山農業改良普及所の花の指導員は1名で、地域全体(三島・柳津・金山・昭和)を巡回しきれない。
 昨年も、就農1~5年の生産者は、作付計画・採花時期・前処理がわからずに、採花放棄したハウスを多く抱え、つまり充分な出荷ができないまま終えたハウスを多く見られた。誰が営農指導の責任を持つのか?就農した生産者は困惑し、これまでの経験でいうと離農する人が多くなると思われる。せっかく農業を生業として立志したので、誰に相談をして仕事を進めて良いのかがわからない人が多くなっている。
 昭和村で言えば、毎月、役場の産業係がニュースを流していたが現在はそうしたことは全く行われず、誰がどこで就農しているのかが全くわからない状態になっている。

 私は、個人の自発的・主体的な意思で無報酬で自発的に『かすみ草相談員』として域内のかすみ草生産者の圃場を訪ね巡回し、品種・作付け・栽培技法・採花・前処理技術・染色方法について相談に乗っている。また電話で照会があれば資料をファクス等で送付するか、生産農家宅や圃場に訪ねて話を聞いて処方箋を伝えている。
 生産者がどうした経緯で就農したのか?なにを実現したくて農業を生業に選んだのか?何度も足を運んで少しずつ話を聞いて、その人が実現したい農業に必要な助言や技術、経営体系について、ささやかな方向性を提案する。それは時間がかかる。
 それは民俗学者の故・宮本常一が言う「世間師」としての庶民の庶民による庶民のための自立のためのものとして、である。
 大きく変動をはじめた気候変動にどのように対応するのか?それは微気象も異なる、土地(畑)の質も異なる、労働の考え方も地区により異なるなかで、生産農家自身がそこにあった方法を考えていくための助言で、農家自身を律するためのものである(哲学と言ってよい)。私がこの地域に恩返しできることはこうしたことしかない。


 この30余年、日本国内のかすみ草生産農家、アフリカ・中南米のかすみ草生産会社を訪問して感じたのは、栽培に熱心で、採花後管理(ポストハーベスト)に興味を持たない日本国内の生産農家の主体性自発性の欠如・無関心である。
 そのため2000年以降、かすみ草サミットを全国8カ所で生産者の主体性で開催し、採花後管理、つまり前処理技術と保冷輸送、店頭販促のプロモーション(かすみ草フェア)を提案・定着してきた。
 一方、花き振興法が施行され日本政府が花の日持ち事業を行うにあたり、JFMAやMPS、JELFAを通じて日本の採花後管理と保冷輸送に日本の基準を設けること、他国なみに生産者の水揚げ場所の標準化技術(前処理、容器類の洗浄等)を、業界各者の協力で推進してきた。
 かすみ草産地では当地を含め、坂下洋花部会、田島花卉部会、そして熊本県内の系統農協産地では、ほとんどが花の品質管理技術を標準化装備する認証取得を自主的に行い、第3者認証を取得、継続している(団体の場合1戸3000円の費用、個人は1万円・年間)。
 花の認証ではオランダのMPSが1戸5万円、4月に日本政府が開始した花のJAS認証では1戸10万円、グローバルGAPではさらに高額の年間認証費用がかかる。
 花を輸出する場合、MPS認証が一般的である(会津では南会津町田部の湯田浩仁さんの土っ子田島ファームと、昭和村の私・菅家博昭しかMPS認証を継続していない、花職人Aizuは離脱)。
 政府の助成で制度化された花の品質管理認証では、愛知県のスプレーマムの生産部会(農協)では、全部会員の作業場を自主的に現地審査して、品質保証(日持ち保証)ができるような是正勧告も自ら部会員通しで行ったうえで、認証を受けた。認証は団体の場合は、全員を現地に審査するのではないので、こうした方法を採る産地が多い。つまり、社会変化に対応して、採花後管理、その作業場の標準化(つまり近代化)を認識してもらうために、品質管理認証の手段を採用している産地が多いのである。

 会津よつば農協かすみ草部会と、農協本部、集荷所(雪室)管理の運営協議会等で次のような値上げ勧告があった。

1.集荷所使用料 1.8%値上げ
2.集荷所保守費用400万円(本年度分)
3.運賃値上げ 20%
4.出荷資材値上げ 10%

 こうしたことが昭和花き研究会が無くなり、独占事業体となると、出てくる。

1+2については関連自治体による負担とすべきで、これに加えて、花の品質管理認証負担金(20万円程度)は、かすみ草産地ブランド維持・強化のため、地域自治体が負担すべき公的なものである。

 1+2の負担増が明らかになれば、農協部会を脱会し個人出荷していく生産者が出てくる。あるいは離農する生産者も出てくる。特に新規就農者でそれが懸念される。
 せっかく雪室集荷所を核として、かすみ草産地ブランドが確立しつつある時点で、それを利用する生産者が減少していくこととなれば、地域振興の意味は無くなり、農協部会に残った生産者の負担がさらに増えていく。

 4月10日のかすみ草生産部会総会で、他県から来村して就農された生産者が挙手して「現在の農協によるかすみ草産地運営への大きな不安」を述べた。それはこうしたことを懸念してのものと会場にいて感じた。

 たとえば、昭和村はこれまで40年間、からむし振興事業にどれだけの費用(補助金)を投入しただろうか?
 それを小野川のかすみ草生産者の渡部忠雄さんは批判し、その金額を別な農業振興事業(たとえばかすみ草振興)に使えば、生産者がどれだけ疲弊せずにすんだのか?と数十年来、持論を展開する。

 昭和花き研究会で、雪室を運営したやり方は、現在の雪室管理運営に転用できないのだろうか?
 かつての昭和花き研究会では本名敬君一人で、雪室の出荷業務を行った。生産者が分荷指示書にしたがって、行き先市場名を書いて集荷してもらい、それを輸送業者が卸市場に出荷した。
 ところが現状のやり方は集荷し品種別・等級別に集めて、それからピックアップして輸送業者に渡す、という多くの人手と、荷扱い時の常温環境下に何度も置くことでの、品質の劣化が懸念される。
 
 今日、新村長が昭和村に誕生する。
 かすみ草のブランド化、振興を公約として当選した。

 社会の経済環境は絶えず変化している。それに対応するのが政策であり、現場に即した大きな機構改革である。
 新規就農者を多く受け入れる流れが出来た中で、次に、コストダウンと品質管理の強化がブランドには必要なはずで、現在、農協本部と前政権の役場による産地運営では、産地崩壊につながる。
 大きく、現状と将来への社会変化を読んで、対応を行う時期になっている。

 私は、農協部会の役員でも無く、自分の意見は4月10日の部会総会で生産者として「農協はかすみ草販売の手数料4.5%を下げるべきだ」と提案したが、農協本部の長谷川専務に否定された。
 5月になり、農業者個人(かすみ草生産者)として、新政権となる昭和村役場(村長宛)に、新たなかすみ草産地へのブランド化の提言書を提出する。その主旨は以上に書いたようなことである。




 昭和村大岐1723 菅家博昭(農業)