3/20(火)大阪千里 万博記念公園。みんぱく:歴史生態学から見た人と生き物の関係

■2018年3月20日(火)大阪滞在2日目
 
 昨日(19日)、午前7時に羽田空港第2TM64番発のANA013便で大阪伊丹空港へ。ほぼ満席。B787。スーツを着た人たちが優先搭乗に30名ほど並ぶ異例な展開。
 
 井原今朝男『史実 中世仏教』第3巻(興山舎、2017)を継続して機中でも読む。黄色のラインマーカー。
 8時過ぎ伊丹空港着。雨になりそうな本曇り。昼前には雨になった。

 機体から出て、モノレール乗り場を探す。到着したのが南ターミナルで、北ターミナルへの接続付近に乗り場があるが、接続部分を工事をしている。
 モノレールに乗り、万博記念公園駅まで。乗った大阪空港駅では人は少なく、次の蛍池駅から雨傘を持った多くの人が乗り込んだ。路線から外を見ると、だんだんと竹林が多くなる。

 以前、みんぱく(国立民族学博物館)に来たときも、竹林の記憶がよみがえった。
 万博記念公園駅はガンバ大阪(サッカー)の装飾品が多く掲示されている。羽田空港のテレビ放送が、大阪万博の太陽の塔の内部公開がはじまった、ことを告げている。
 
 万博後の跡地にみんぱくは建っており、今回のシンポジウム「歴史生態学から見た人と生き物の関係」の行われる会場へ。受付を済ませたが、一般聴講者には英文のアブストラクト(講演要旨集)冊子は配布されず、薄く製本された日本語の資料だけであった。この対応には、たいへん落胆した。報告者が20名弱、一般聴講者は15名ほどしかいない。

 10時から円卓方式でPPT(パワーポイントスライド)を使用しながらシンポジウムははじまったが、英語での報告(通訳のイヤホン配布有り)、議論である。質問者はすべてテーブルのマイクから英語あるいは日本語で話す。

 開会挨拶は吉田憲司館長で英語で準備した原稿を手元におきながら、英語で話され、5分ほどで終わり、東京出張のため退室された。
 
 この会議の主催者のみんぱくのイケヤ(池谷和信)先生の「人類の歴史、文明と多様な歴史生態学」もスライド写真を使いながら、英語で行われた。質疑・コメント等も英語で報告予定者からなされた。いくつかの質問・意見のなかで、みんぱくの高木仁氏(カリブ海ミスキート諸島近海の住民とアオウミガメの400年 その人類史的意義について)は、取り上げる時代の長さと対象に疑念を示された。異なる時代、地域の比較には慎重さと新しい工夫がいる。

 このイケヤ先生の報告のなかで、最後に、みんぱく立地場所の竹林が多いことを説明されていた。日本に中国から200年前に渡ってきた竹が、産業化されるなかで、万博開催地には竹の加工工場があったこと、また赤松林がひろがり1930年代まで松茸採取が盛んに行われたこと等が説明された。
 
 2題目の報告者は、アメリカのトウレーン大学のウイリアム・バレー氏で「歴史生態学からのアマゾン川流域と日本の比較」。アマゾニアの、あるいは中南米の古代のウルシ製品について紹介され、日本のウルシ、特に岩手県等のウルシも指摘された。人間の森林等の開発行為と遷移について2類型の分類を行い、生物種の量の多寡でその指標を創設されたが、報告後のディスカッションでは、認識の違い(原生・2次)があった。みんぱくの鵜飼い研究者の卯田宗平氏は、日本の森林の実態は、現在喧伝される里山の美しさとなったのは最近のことで、集落・都市の周囲の森林は近世には多くがはげやまであったことから、日本の人間と自然の関係を里山で美化すべきではないと、日本語で発言された。
 一報、報告者のバレー氏は、日本文化のなかの「盆栽」「庭園」「茶道」にも触れている。本シンポジウムの進行者のイケヤ先生は、この指摘はたいへん重要であるので、もう少し評価してよいようなコメントをされている。
 ディスカッションで、卯田氏は、日本とアマゾニア等を比較するのは良いのだけれども、比較は手段であり、何を明らかにするために用いるのか?を質問した(たとえば、人間の適応性、あるいは人為的改変を受け入れる自然)。また日本と総称しているが東と西で植生も文化も異なる。雪が降る冬の景観など、かなり違いが出る。どこを代表として日本を比較するのかも課題は多い。
 インパクトでの景観の変化か、一般化できるところは何か、、、、

 畜産学の黒澤弥悦氏は、バレー氏の写真にあった京都の畑等にフェンス(野生獣防護ネット)があり、それを解説された。報告者はそれを調査されていないのでわからないとした。
 
 イギリスのクイーンズ大学ベルファルトのジョン・ナイト氏(農作物加害動物に対する追い払い反応に関する調査)は、このフェンス・ネット等について、かつて日本は里山が人の暮らす場所と森林の中間にありパーティーション(仕切り)となっていて、それがバッファ(緩衝地帯)になっていた。空間を仕切る仕組みが日本の特徴で、報告のあったアマゾニアの事例では、森と開発開墾地域空間が直接つながっているのではないか?
 
 会場聴講の女性が英語で質問したのは、タイプ Ⅰ、Ⅱの概念の確認。バイオダイバシティー(生物多様性)と、開発放棄後の自然への回復度合い等を質問された。

 イケヤ先生が、指名して、フランスの国立科学調査センターのステファン・ロステン氏(アマゾン川流域の歴史生態学  先コロンブス期の景観に関する学際的アプローチ)は、エスノグラフィーで、変化をみるのは誤りだと指摘された。アマゾンの自然に関する人との関係の研究ははじまったばかりであり、基本的には文化的景観についてはまだ議論できない。植民地となる前と後では、まったく異なる。いつの時代を議論するのか、、、という。

 加えてイケヤ先生は、ブラジルのサンパウロ大学考古学民族博物館のエドモンド・G・ネベス氏(出現しなかった新石器時代 古代アマゾンの栽培と農業を隔てる微妙な境界線)を指名した。
 ネベス氏はアマゾンでのエスノグラフィー(民族誌)は少ない。新しい手法での研究方法が必要になっている。

 イケヤ先生は報告者のバレー氏に、日本の里山の概念を英語でカルチュラル・フォレストと表現したが、里山という概念を英語ではどのように表現するのか?
 バレー氏は、ポルトガル語でカポエラという2次森林(セカンダリー・フォレスト)の概念を紹介された。ただし人手による破壊だけに限定されていないようでもあり、人間が利用した後に完全に放棄したわけでもなく、カポエラという言葉にはいろんな意味があることを言う。日本の里山は必ず樹木が立っているので、それと同じ概念というのは難しい、というような内容に聞こえた(英語とイヤホンの通訳)。

 ジョン・ナイト氏は、日本の里山は人間が入り込んでいる。人が入り続けるのかどうか、ということも里山概念には検討すべきではないか?と語った。

 これで2時間のあわせて2題の報告とディスカッションが終わり、昼食となる。午後の部のコメントは北海道の佐々木氏。

 これが3日間続く。
 報告者の紹介のみで参加者の紹介がなく、質疑者の座席表も無いので、発言のやりとりで人名推定しているので誤りがあるかもしれない。撮影も禁止。



羽田



モノレール万博記念公園駅







本館2階

報告者の席

通訳のイヤホンと一般聴講者用資料



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■22日の午後の視察先の愛知みなみ農協の荒木さんから連絡がある(視察予定先のかすみ草農家圃場のリスト)

 25日、福島県中世史研究会。会津坂下町

 27日の午前、会津若松市内でミヨシの稲垣氏と懇談する(昨年の試作評価等)ことが決まった。
 4月上旬、スミカの柿沼氏が来県される、とのこと。
 
■洋子さんから「筬通し(おさどおし)」が終わって、今後、巻くとのこと。
 
 
■村教委の渡辺氏よりメールがあり、3月末までに昭和村文化財保護審議会を開催する、とのこと。18:30分から。